を直線状のものとして置けば、途中に訣らなくなつた箇所の出て来るまゝ、改作し/\して、結局は波状線の様な、瘤のある文章になる訣だが、必要に応じての、必然的な改作なのだから、原《モト》の文章も、改作した文章も同じだと思つて居る。それは一つには、昔から言葉の威力を信じたので、(1)が神聖ならば、同様に、(N)も神聖なものだ、と考へてゐるからのことでもあつた。――――[#「――――」に「原詞章」の注記](1)―・―・―[#「―・―・―」に「・訣らぬ所」の注記](2)※[#「ジグザグの線」、311−11](3)〜〜〜〜(N)かういつた瘤のある文章が、今ある祝詞だとは思はぬが、ともかくも、よほど原詞章とは変つて来てゐるに違ひない。同じ延喜式の中でも、平安朝に出来た、宮廷の簡単なものと、古いものとを比較してみると、大体の文章は同じで、古いものには、所々に難しい古い文章詞句が入つてゐる、といふだけの相違である。つまり、瘤状を為してゐる部分と、直線の部分とが、我々には考へられる訣だが、当時の人には、此相違は相違でなかつたのである。
とにかく、古詞章は出来るだけ、訣る様にしようと考へ、又、実際にさうして来
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