古歌新釈
折口信夫

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)等閑《ナホザリ》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)やりくち[#「やりくち」に傍点]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)もと/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−

自分は、かね/″\従来の文章の解釈法、殊に和歌に就いて、先達諸家のやりくち[#「やりくち」に傍点]に甚だ慊らぬふしが多い様に思うて居る。もと/\、解釈と訓詁とは主従の関係に立つもので、前者が全般的なるに対して、後者は部分的である。徹頭徹尾後者は部分的といふ絶対性をもつて居る。部分的なるものゝ全般的に拡充するには、数多の部分性の集合を要する。畢竟部分性は物の一面である。立体的事実を築き上げるには、必ず異平面の集合を要するので、望む所は、異種の部分性である。訓詁は、解釈の基礎をなす有力な材料の一つであるが、同時に解釈に到るには、尚他の部分性の綜合を要する訳である。更にいふと、解釈は、内容を説明するのであるが、訓詁は、内容を作る路の言語の説明、または言綴によつて約束せら
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