人等も、一つ二つを漏し落す事もあらむか、と辱なみ、愧しみおもほしまして、我皇太上天皇の大前に「恐古之物《カシコシモノ》」進退匍匐廻《シヾマヒ?ハラバヒモト》[#(保利《ホリ》)]……
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[#地から1字上げ](宣命、神亀六年八月五日)
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○汝《ナ》が命きこしめせとのりたまふ御命を「畏自物」受賜[#(理)]坐[#(天)]食国天下[#(乎)]恵賜[#(比)]治賜[#(布)]間[#(爾)]……
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[#地から1字上げ](宣命、天平勝宝元年七月二日)
此等の例を、凡に見ると、万葉の「じもの」の分化したもの、と思はれさうだ。併し、其にしては、あまり飛躍し過ぎてゐると言ふことも、同時に思ひ浮ぶであらう。ともかくも、通例の形容詞の用語例に馴れた我々には、「いまじきの間」「ましゞ・ましゞき」「われじく」或は又、「おたひし[#「し」に傍点]み」など言ふ形や、
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汝[#(爾)]冠位上賜治賜[#(夫)]。又此家自[#「家自」に白丸傍点][#ここから割り注]久母[#「久母」に白丸傍点][#ここで割り注終
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