かくれんぼう」に傍線]なども、隠れん坊ではないかも知れぬ。薩・隅・日の三国に共通したかご[#「かご」に傍線]と似た形に、かぐれ[#「かぐれ」に傍線]と言ふ河童の方言がある。其以前、もつと広く行はれた時分、「かくれん坊」の語根となつたのではないか。
目隠しを言ふめなしちご[#「めなしちご」に傍線]・めなしどち[#「めなしどち」に傍線]なども、目なし子鬼の義であらう。どち[#「どち」に傍線]はみづち[#「みづち」に傍線]の系統の語であり、ちご[#「ちご」に傍線]も、河童或は河童の好物しりこだま[#「しりこだま」に傍線]を意味する、福岡辺の方言である。河童の外にも、もゝんぐわ[#「もゝんぐわ」に傍線]・がごじ[#「がごじ」に傍線]・子とろ[#「子とろ」に傍線]・めかこう[#「めかこう」に傍線]など言ふのがゐる。

     六 河童の正体

世間に言ふとほり、一口に河童として、混雑を避けて来たが、所謂|河童《カハワロ》と謂うた姿の河太郎・河童の姿を、標準と見做しておいた。だが其外に、河童と言ふに不適当な姿をしたものがあるのである。
あんなに、馬の護符を出す津島神社の四方、かなり広い範囲に亘つ
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