」に傍線]とも言ひます。此は、をかしがらせる為の役を意味するのではなく、もどき[#「もどき」に傍線]同様、犯し[#「犯し」に傍線]であつたものと考へられます。こゝに、猿楽が「言」と「能」との二つに岐れて行く理由があるのです。能は脇方としての立ち場から発達したもの、狂言は言ひ立て・説明の側から出た名称と見られませう。
かうして見ますと、狂言方から出る三番叟が、実は翁のもどき[#「翁のもどき」に傍線]役である事が知れませう。さうして、其が猿楽能の方では、舞が主になつて、言ひ立て[#「言ひ立て」に傍線]の方が疎かになつて行つたものと見る事が出来ます。
かう申せば、翁は実に神聖な役の様に見えますし、して方[#「して方」に傍線]元来の役目の様に見えますが、私はそこに問題を持つてゐるのです。一体、白式・黒式両様の尉面では、私に言はせると、黒式が古くて、白式は其神聖観の加はつて来た時代の純化だ、とするのです。
役から見ると「翁のもどき」として、三番叟が出来たのですが、面から言ふと、逆になります。白式の翁も元は、黒尉を被つて出たものであつたのを、採桑老風の面で表さねばならぬ程、聖化したのです。さうして
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