な」に傍線]の用語例の印象をとり込んでゐます。尠くとも我々の観念にあるおきな[#「おきな」に傍線]は、唯の老夫ではない。芸道化せられたおきな[#「おきな」に傍線]を、実在のおきな[#「おきな」に傍線]に被せたものなのであります。
おきな[#「おきな」に傍線]・おみな[#「おみな」に傍線](媼)の古義は、邑国の神事の宿老《トネ》の上位にある者を言うたらしい。おきな[#「おきな」に傍線]・おみな[#「おみな」に傍線]に対して、をぐな[#「をぐな」に傍線]・をみな[#「をみな」に傍線]のある事を思ひ併せると、大(お)・小(を)の差別が、き(く)・み(む)の上につけられてゐる事が知れます。つまりは、老若制度から出た社会組織上の古語であつたらしいのです。舞踊《アソビ》を手段とする鎮魂式が、神事の主要部と考へられて来ると、舞人の長なるおきな[#「おきな」に傍線]の芸能が「翁舞」なる一方面を分立して来ます。雅楽の採桑老《サイシヨウラウ》、又はくづれた安摩《アマ》・蘇利古《ソリコ》の翁舞と結びついて、大歌舞《オホウタマヒ》や、神遊びの翁が、日本式の「翁舞」と認められたと見ても宜しい。
尾張[#(ノ)]
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