をにへす」といふにへ[#「にへ」に傍線]が、単に贄物《ニヘモノ》を献る、といふ今日の用語例と一致したもので無く、新嘗の行為全部を包容する動詞だとすれば、にふなみ[#「にふなみ」に傍線]のにふ[#「にふ」に傍点]は、新《ニヒ》の転音だといふばかりで、安心して居られなくなる。私は今は、にへなみ[#「にへなみ」に傍線]・にふなみ[#「にふなみ」に傍線]何れにしても、格のてにをは[#「てにをは」に傍線]なる「の」と「いみ」との熟したもので、即、にふのいみ[#「にふのいみ」に傍線](忌)といふ語であるらしいことを附記して、考証の衣を著せられない、哀れな此小仮説をとぢめねばならぬ。



底本:「折口信夫全集 3」中央公論社
   1995(平成7)年4月10日初版発行
底本の親本:「『古代研究』第一部 民俗学篇第二」大岡山書店
   1930(昭和5)年6月20日
初出:「郷土研究 第四巻第三号」
   1916(大正5)年6月
※底本の題名の下に書かれている「大正五年六月「郷土研究」第四巻第三号」はファイル末の「初出」欄に移しました。
入力:門田裕志
校正:仙酔ゑびす
2007年4月8日作成

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