世のまじなひ[#「まじなひ」に傍線]で、語原の意識がまだ失はれずして、内容は既に、多分の変移を来して居るのである。
まじ[#「まじ」に傍線]は、精霊の不純な活動を言ふ語で、能動者を人と限らず、精霊自身なることもあるのが、霊の純・不純の作用に恐れもし、讃美もした大昔の時分のまじ[#「まじ」に傍線]なる語の用語例である。母《オモ》の乳汁《チシル》や貝殻がやけど[#「やけど」に傍線]を癒したのは、まじなひ[#「まじなひ」に傍線]に籠りさうだが、実は、正当な薬物療法で、酒《クシ》を其最いやちこな効果を持つもの、と考へてゐた、くする[#「くする」に傍線](くす――くし)と言ふ行ひであつたと思ふ。
くする[#「くする」に傍線]は霊の純用で、まじなふ[#「まじなふ」に傍線]の古い形まじこる[#「まじこる」に傍線]は、其不純な活用である。
まじなふ[#「まじなふ」に傍線]は、近代風の語に飜《ウツ》すと、悪魔の氏子となることである。まじもの[#「まじもの」に傍線]を外に使ふ者があつて、自分が悪い結果を受けた時即、まじこる[#「まじこる」に傍線]と言ふのである。
まじこり[#「まじこり」に傍線]を呪咀《ト
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