」に傍線]はそへ毛である。又、源氏物語末摘花の巻に、おち髪をためて、小侍従にかつら[#「かつら」に傍線]を与へた、とあるのは、髢である。
桂女の被るかつら[#「かつら」に傍線]、役者の著けるかつら[#「かつら」に傍線]と言ふ風に色々あるけれども、つら[#「つら」に傍線]はつる[#「つる」に傍線]と同じ語で、かづら[#「かづら」に傍線]はもと「頭に著ける」蔓草と言ふことであらう。蔓草を、ひかげのかづら[#「ひかげのかづら」に傍線]なる語にも見える様に、かげ[#「かげ」に傍線]とも称したことは、古今集東歌に、
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筑波嶺《ツクバネ》のこのもかのもに、蔓《カゲ》はあれど、君がみかげに、ますかげはなし
[#ここで字下げ終わり]
とあるのを見れば訣る事で、此歌は、山のどの方面にも蔓草があると言うて、みかげ[#「みかげ」に傍線]即お姿と言ふ語を起した恋歌なのである。
あめのみかげ[#「あめのみかげ」に傍線]・ひのみかげ[#「ひのみかげ」に傍線]には、祝詞に現れたゞけでも四通りの意味があるが、最初の意味は、屋根の高い処から、垂れ下げた葛の事である。即、蔓草で作つたつな[#「つな」
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