事を示してゐる。後には、此かけづくり[#「かけづくり」に傍線]をはしどの[#「はしどの」に傍線]などゝさへ称する様になつた。だから、考へると、市廛《イチタナ》の元の作りが訣つて来る様に思ふ。恐らく、異郷人と交易行為を行ふ場処は、かうした棚を用ゐたので、その更に起原をなすものは、棚に神を迎へ、神に布帛その他を献じた処から、出てゐるのである。
さうした意味から考へると、日本紀天孫降臨章にある、
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天孫又問曰、其於[#(ニ)][#二]秀起浪穂之上《ホダタルナミノホノウヘ》[#一]、起《タテ》[#二]八尋《ヤヒロ》殿[#(ヲ)][#一]而、手玉玲瓏織※[#「糸+壬」、第3水準1−89−92]《タダマモユラニハタオル》之|少女《ヲトメ》者、是[#(ハ)]誰|之女子耶《ガヲトメゾ》。答[#(ヘテ)]曰[#(ハク)]、大山祇神之女等。大《エヲ》号[#(ヒ)][#二]磐長姫[#(ト)][#一]少《オトヲ》号[#(フ)][#二]木華開耶姫[#(ト)][#一]。
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とある八尋殿は、構への上からは殿であるが、様式からいへば、階上に造り出したかけづくり[#「かけづ
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