て、大名・旗本に対しても、横柄を振舞つた。
歌舞妓芝居は、彼等の間に生れた芸術で、それには幸若舞が与つて、大きな力を致してゐる。
歌舞妓芝居は、其後非常な発達をして、もはや、昔の俤は止めぬほどになつてしまうたが、それでも尚、此等の、発生当初のものとの関係は、全然、別れ切りにはならなかつた。其間に纏綿たるものゝあつた事は考へなければならぬ。
尚、無頼の徒の芸術には、文学方面にも、言及すべきものがある。
日本の文学は、王朝時代に於ける女房の文学に始まり、次で隠者の文学が起り、此にごろつき[#「ごろつき」に傍線]の文学が提携し、此等のものゝ洗礼を受けて生れたのが、即、江戸時代の町人文学である。此等の点については、いづれ細論する日もあらう。茲には無頼の徒の芸術として、歌舞妓芝居の発生を述べた。大体、其特色は尽した積りである。
底本:「折口信夫全集 3」中央公論社
1995(平成7)年4月10日初版発行
初出:「民俗芸術 第一巻第八・九号」
1928(昭和3)年8、9月
※「昭和三年春、神奈川県図書館協会主催文芸講演会講演筆記」の記載が底本題名下にあり。
※底本の題名の下に書か
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