さかいに[#「さかいに」に傍線]の上によつて[#「よつて」に傍線]があり、その上にから[#「から」に傍線]が「えどつこ」として勢力を占めて来るやうになつた。
此から推すと、さかい[#「さかい」に傍線]も江戸の中期以前は、さかいで[#「さかいで」に傍線]が優勢であつたのが、後には、さかいに[#「さかいに」に傍線]からさかい[#「さかい」に傍線]と単純化せられて行つたのは、から[#「から」に傍線]のやうな「単語尾」化を欲する方に向つたのである。
「行くよつて」「行くよつてに」が、「行くさかい」「行くさかいに」と、文法組織まで同じであることは、注意を要する。簡単に考へれば、明治の地方国語教育が、方言にはたらきかけて、から[#「から」に傍線]に最類似したよつて[#「よつて」に傍線]、でなければ、せい/″\さかい[#「さかい」に傍線]を選ぶ様に為向けたと言へよう。其に、さかい[#「さかい」に傍線]・よつて[#「よつて」に傍線]・から[#「から」に傍線]ならば、等しく終止形に完全につくといふ事実を認めることが出来る。方言の隠れた動きが、そこに出て来てゐる訣だ。
方言要素の生滅[#「方言要素の生滅
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