かい[#「すかい」に傍線]・すけ[#「すけ」に傍線]・しかい[#「しかい」に傍線]・しけ[#「しけ」に傍線]・しき[#「しき」に傍線]の分布を見る地方に、さかい[#「さかい」に傍線]・さけ[#「さけ」に傍線]・さけえ[#「さけえ」に傍線]・さかいで[#「さかいで」に傍線]が現れて来ても、その後又、上方から新しく流れこんで来たものとは、必しも限らぬのである。此とおなじことが、もつと有力に、さかい[#「さかい」に傍線]の出自なる上方にも起つて居たことは、考へておいてよい。
方言は、先に言うたやうに、あるものは、消滅しきらずに、ある期間甚しく衰弱してゐる。さうして何かの動機で、大きに盛り返して来る。方言に限らず、言語全体の上にある例なのである。長い様式を持つて出て来るのが、歌謡である。
さかい[#「さかい」に傍線]の歴史の古さが思はせることは、この方言の唯今分布残存するすべてが、すかい[#「すかい」に傍線]流布後はじめて=さかい[#「さかい」に傍線]が=現れたものとは言ひきらせないものゝあることである。
少々材料不足を感じるが、かう言ふ理由はある。
盛り返す言語生命[#「盛り返す言語生命」
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