交替する原因にも、やはり混乱から来たものが、あつたのである。
ます[#「ます」に傍線]とおなじ頃に現れたらしいのだが、別々に発達して来て、今も使はれてゐる一類がある。
[#ここから2字下げ]
です(でいす・でんす・どす・だす)
あす(やす・やんす・おす)
[#ここで字下げ終わり]
其から稍遅れて、げす[#「げす」に傍線](がす・ごす)も、ある。
此等の語に共通してゐるす[#「す」に傍線]が、一元のものか、又は、似たものが自然に歩み寄りによつて、更に似た点を増して来たものかと言ふ問題は、簡単には解決がつかぬのである。
この中、「です」は、「奴詞」と見て、さし支へはなく、而も相当に、その早期に顕れたものと見ることが出来る。
あす[#「あす」に傍線]は、其と大体時期の近いものだらうが、女性特に「女房詞」を駆使する人たちの間に流行して、後漸くです[#「です」に傍線]の男におけると同様、女性語としては、うはかぶき[#「うはかぶき」に傍線](浮歌舞妓=宛て字)めいた所が、時の好みに合ひ、はすは[#「はすは」に傍点]だが、ある品格[#「品格」に傍点]を持つた詞として、使ひひろげられたものらしいのであ
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