も立派な男子の証拠儼然たり。妻を呼び燈を執り詰《なじ》ってその実を知り、告発せんにも余り可愛らしい。ついに取って押えてこれを宮し、創《きず》を療じた後、これ我が表姪王二姐とて、生まれ付いた無性人で夫に逐《お》われたとこの頃知ったから妻の伴とし置くと称し、昼は下女同然に賄《まかな》わせ使い、夜はすなわち狎処《こうしょ》した。間もなく桑※[#「栩のつくり+中」、332−8]伏誅しその徒皆|棄市《きし》された時二喜のみ免れた。探索厳しいから村人多く疑う。由って老婆連を集め見せるに全く無性人と判った。王二喜ここに至って馬生を徳とし、その為《な》すままに身を任せて一生を終り、死して馬氏の墓側に葬られた。支那では余り希有《けう》な事でないらしく、おどけ半分に異史氏が評して馬万宝善く人を用ゆる者というべし。児童|蟹《かに》を面白がるが鉗《はさみ》が畏《おそ》ろしい。因って鉗を断ちて飼う。万宝もこんな美人をそのまま置いては留守に家を乱さるるからこれを宮して謀反の道を断って思うままに翫《もてあそ》んだのだ。ああいやしくもこの意を得ば以て天下を治むるも可なりといった(「鳥を食うて王に成った話」参照)。桑※
前へ
次へ
全90ページ中75ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
南方 熊楠 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング