して大家の室女百八十二人を汚す。後《のち》晋州に至り高秀才の家に宿る。その婿趙文挙|酷《ひど》く寡婦を好み、自分の妻を妹と詐《いつわ》り、延《ひ》き入れて同宿せしめ中夜にこれに就くに※[#「栩のつくり+中」、331−13]大いに呼んで従わず。趙無理やりその衣を剥げば男子なり。官に送り糾明するに実を吐き、その師大同の谷才この術を行うたが既に死んだ。その党任茂、張端等十余人各途を分ち非行すと。急ぎ捕えて罪定まり皆|磔殺《たくさつ》された。※[#「栩のつくり+中」、331−15]の門人王大喜その術をその弟王二喜に伝え、二喜十八、九歳の艶女に化け裁縫絶巧兼ねて婦女を按摩《あんま》す。かくて行う事久しからず、やっと十六人に施した後《のち》東昌に至り、馬万宝の隣家に宿る。一度嫁したが舅姑に虐げられて脱れ出たという。馬これを垣間見《かいまみ》、瓢金《ひょうきん》なその妻と謀り自分は飲みに出たと称し妻をして疾に托して王を招かしめた。さて妻が厨舎の門を閉づるとて燭を隠し出で往いた跡へ素早く馬が入れ替り居るとは白歯の似せ娘、馬をその妻と心得按腹する指先で男と判《わか》り、逃げかかる処を馬が止め検すればこれ
前へ 次へ
全90ページ中74ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
南方 熊楠 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング