88−73]《おう》と成った。跡の奴原《やつばら》も次第に駆り入れて金銭八※[#「央/皿」、第3水準1−88−73]が出来た。時に理髪師門の孔からこの体《てい》たらくを覗《のぞ》きおり、道人の頭さえ打たば金に成ると早合点して、他日自ら馳走を用意し心当りの道人八人を招待して飲食せしめ、すでにおわって門戸を閉じ、いきなり上座の道人の頭を打つと、これはただの人間だから血出て席を汚し、余りに隅へ駆り入るるの急なるより糞を垂れた。七人までかくのごとく打ち倒されたが八番目の道人力強くて戸外に突き出で、この主人は我らを殺さんとすと大いに叫んだ。国王人を遣わし理髪師を捉えて委細を聞き、更に人を遣わして募人の家を検するに金銭夥しく持ち居る。王その銭を奪うと銭が毒蛇また火の玉と成ったので、これはわれが取るべきでないと言って募人に返したと。この話の発端におよそ一切の法、求むべき処においては方便を以て得べし、もし求むべからずんば、強いて得んと欲すといえども、すべて獲《う》べからず、譬《たと》えば沙を圧して油を覓《もと》め、水を鑽《き》って酥を求むるがごとく、既に得べからずいたずらに自ら労苦すとある。その言い様
前へ
次へ
全69ページ中64ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
南方 熊楠 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング