をかく名づけたのが仏教に移ったらしい。
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『仏説|楼炭経《るたんきょう》』一に拠れば、須弥山《しゅみせん》の山の北方の天下鬱単越洲の人、通歯髪|紺青《こんじょう》色で身の丈八丈、面色同等長短また等し。通歯とはいわゆる一枚歯だろう。仏の三十二相の第二は螺髪《らほつ》右旋《うせん》、その色紺青(『方広大荘厳経』三)、帝釈《たいしゃく》第一の后|舎支《しゃし》、目清くして寛に、開いて媚《び》あり、髪青く長く黒く一々|旋《めぐ》る(『毘耶婆《びやば》問経』下)。インドでは中国で漆黒というに異なり、碧黒を最美としたのだ。
『万葉集』に美髪を讃《たた》えてミナのワタとあるを面妖に思い、予試みにミナという溝中の小螺を割って見るとその腸が美しい碧黒色だったので、昔の日本人もインド人と同好だったと知った。それからこの北洲の人はことごとく十善を行い悪行を教え作《な》さず。皆《みな》寿千歳で欠減する者なし。死後は※[#「りっしんべん+刀」、第3水準1−84−38]利天《とうりてん》に生まれ天上で終ってこの閻浮提《えんぶだい》洲の富貴人に生まれる。北洲の人大小便すれば自ずから地下に没し、そ
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