−65]嚢鈔』九に「カンコ苔《こけ》深しなんど申すは何事ぞ、諫鼓をば諫《いさ》めの鼓と読む。喩《たと》えば唐の堯帝政を正しくせんがために、悪《あ》しき政あればこの鼓を撃ちて諫め申せと定め置かれしなり。中略、何たる卑民の訴えも不達という事なかりしなり」、『連珠合璧』下、鼓とあれば諫め、苔深し。『鬻子《いくし》』に禹《う》の天下を治むるや五声を以て聴く。門に鐘鼓|鐸磬《たくけい》を懸け、以て四方の士を待つ。銘に曰く、寡人に教うるに事を以てする者は鐸を振え、云々。道を以てする者は鼓《こ》を撃てと。『淵鑑類函』五二に〈堯誹謗の木を設け、舜招諫の鼓を懸く〉とあれど出処を示さず。熊楠色々と捜すと『呂覧』自知篇に〈堯欲諫の鼓あり、舜誹謗の木あり〉と出たが一番古い。余り善政行き届いて諫鼓の必用なく、苔深く蒸したと太平の状を述べたとまでは察するが、もっとも古くこの成語を何に載せたかを知らぬ。白居易作、敢諫鼓の賦あり。『包公寄案』には屈鼓とした。冤屈を訴うる義だ。『類聚名物考』二八五に土御門《つちみかど》大臣「君が代は諫めの鼓鳥|狎《な》れて、風さへ枝を鳴らさゞりけり」、三二〇に「今の世に禁庭八月の燈籠の
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