》※[#「けものへん+彌」、第3水準1−87−82]猴池を模せしと、池の西北の方の松井の坊に弘法《こうぼう》作てふ猴の像あり。毘舎利《びしゃり》国※[#「けものへん+彌」、第3水準1−87−82]猴池の西の諸猴如来の鉢を持って樹に登り蜜を採り、池の南の群猿その蜜を仏に奉ると『西域記』を引き居るが、仏はなかなかの甘口で猴はそれを呑み込んで人間に転生したさに毎々《つねづね》蜜を舐《ねぶ》らせたと見える。また『賢愚因縁経』十二に、舎衛《しゃえ》国の婆羅門《ばらもん》師質が子の有無を問うと六師はなしと答え、仏はあるべしという、喜んで仏と衆僧を供養す。それから帰る途上仏ある沢辺に休むと猴が蜜を奉り、喜んで起《た》って舞い坑に堕ち死して師質の子と生まる。美貌無双で、家内の器物、蜜で満たさる。相師いわくこの児善徳無比と、因って摩頭羅瑟質《まずらしっしつ》と字《あざな》す。蜜勝の意だ。父母に乞うて出家す、この僧渇する時鉢を空中に擲《なげう》てば自然に蜜もて満ち、衆人共に飲み足ると。『大智度論』二六に摩頭波斯咤比丘《まずはしたびく》は梁棚《りょうほう》あるいは壁上、樹上に跳《おど》り上がるとあるも同人だ
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