島に来り、猿の口開の神事を行う。この日より後この島の猴声を発すといえり。また十一月上申の日|件《くだん》の社司祓神事を行う事二月のごとし、猿の口止《くちどめ》の神事というなり。この後猴声を入るるなりとあるを読んで、何とか実地研究と志しいたところ、右の報告を見てお生憎《あいにく》様と知った。『厳神鈔』に山王権現第一の使者に猿、第二の使者鹿なり。春日大明神第一の使者は鹿、第二の使者は猿なり。日吉《ひえ》にも、インド、セイロン同然猴は屍を匿《かく》す話行われ、唐崎《からさき》まで通ずる猿塚なる穴あり、老い果てた猿はこの穴に入りて出ざる由。猿果てたる姿見た者なし、当社の使者奇妙の働き〈古今|勝《あ》げて計《かぞ》うべからず〉という(『日吉社神道秘密記』)。『厳神鈔』に、初め小比叡峰へ山王三座来りしが、大宮は他所へ移り、二の宮は元よりこの山の地主故独り住まる。その時猿形の山神集まりて種々の遊びをして慰めた。これを猿楽の一の縁起と申す。『日吉社神道秘密記』に、〈大行事権現、僧形猿面、毘沙門弥行事、猿行事これに同じ、猿田彦大王、天上第一の智禅〉。『厳神鈔』に大行事権現は山王の惣《そう》後見たり、一切
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