を生ずる事あり。稀にはまた三、四趾を駢《なら》び生ずるあり。学者馬の祖先の足に三、四趾あった当時の旧態に復《かえ》って、かくのごとしと説くが通例だが、篤《とく》と調べるとそうでなく、かかる多趾の馬の足は、ヒッパリオンやアンキテリウムなど、過去世の馬の多趾な足に似ず、全く手足が一本多過ぎたり指が六本あったりの人と同じく、畸形不具者に過ぎずと。『甲子夜話』続編七六、両国橋見せ物に六足馬|絵《えが》ける看板を掛く、予人をして視せしむるに、足六なるにあらず、図のごとく真に六脚あるにあらず、前蹄に添いて、わずかに足末を生ぜるまでなり、羽州三春に産せりという(第四図[#図省略])とあるが、その図を見れば、いかにも人の六指に対して六足ともいうべき畸形らしく、第二図と比べば、馬の祖先の多趾なると様子が異なるを知らん。
それから、同書巻十一に、津軽辺で三歳の駒、左の耳に長《たけ》一寸九分くらいの角生え、曲り、黒く堅し、ただし本の方は和らかくして、また右の方にも生え立ちし角見え申し候と見ゆ。『梅村載筆』に、義堂の詩三句ながら同字を蹈む事日本で始めなり、その詩は、〈馬頭角を生ずるはまた難きにあらず、山上に
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