置く。
 香材の出処実に思いのほかなるもありて、一九〇三年版マヤースの『|人品および身死後その残存論《ヒューマン・パーソナリチー・エンド・イツ・サーヴイヴァル》』巻二第九章附録に、精神変態な人が、頭頂より二種の香液を他の望み次第出した記事と弁論あり。予これを信ぜなんだところ、七、八、九年前の毎春引き続き逆上して頭|腫《は》れ、奇南香また山羊にやや似た異香液不断出た。人により好き嫌いあるべきも、香油質のやや粘ったもので、予自身は甚だ好きだったが、医者が頑癬《たむし》の異態だろうとて薬を傅《つ》けても今に全癒せぬが、香液は三年切りで出でやんだ。人畜の体より出て、塗香に合すべき見込みあるもの多きもここに述べ得ず。ただ麝、麝鼠、麝牛、霊猫、海狸《ビーヴァー》等の体より分泌する諸香に遠く及ばねど、諸獣の胆や頑石や牡具の乾物も多少その用に充《あ》て得と言い置く。レオ・アフリカヌスはアフリカのセネガ人馬を得れば塗香の呪言|誦《ず》しながらその馬の全身に塗ると書いた。
 昨年死んだ英国の地主マシャム男は、遺産百一万六千百五十ポンド十一ペンスてふ大富人だった。その遺言状に、騎馬競馬から車用馬まで飼馬残ら
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