多の想像と実物に因って混成したものなるはさきに詳論したつもりだが、馬と竜との関係について何にも説かなんだから今飛馬譚のついでにこれを論じ置く。
プリニウスいわくケンタウリ騎兵を初むと。これはギリシアのテッサリアの山林に住んだ蛮民全身毛深く時に里邑を犯し婦女を掠《かす》めたが、山中に住み馴れただけあって善く菜物を識《し》った。スミスの『希臘人伝神誌字彙《ジクショナリ・オブ・グリーク・エンド・ローマン・バヨグラフィー・エンド・ミソロジー》』一八四四年版六六六頁に拠れば、ケンタウリは牛殺しの義で、普通に前体は人、後身は馬という畸形で男と牝馬の間種とす。よほど昔ギリシア中でテッサリアの山民のみ騎馬を善くした時、他の諸民これを半人半馬の異物と思うた。その実テッサリア人|毎《いつ》も騎馬して牛を追い捕うる事、今の南米の騎馬牧人《ガウチョス》そのままだったらしく、紀元前四世紀、既にこれに象《かたど》った星宿|殺牛星《ケンタウロス》の名書き留めあれば、かかる誤解はよほど以前に生じいたのだ。スペイン人が初めて西大陸へ討ち入った時、土人騎兵を半人半畜の神と心得ひたすら恐れ入り、その為《な》すが任《まま》
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