間に記憶と想像と考慮を働かせ、前駒の死に鑑《かんが》みて今度生まれたらこうしようと案じた結果だと。またいわく小屋に小馬を入れ戸を闔《とざ》して内に横※[#「戸の旧字/炯のつくり」、第3水準1−84−68]《よこさし》外に懸金《かけがね》をさし置くに毎《いつ》も小馬が戸外に出居るを不思議と主人が窺《うかが》うに小馬まず自ら※[#「戸の旧字/炯のつくり」、第3水準1−84−68]《さし》を抜き嘶くと、近所の驢が来て鼻で懸金を揚げ小馬と二匹伴れて遊びに往った体《てい》、まるで花魁《おいらん》と遊客の懸落《かけおち》のようだったと。米国セントルイスのナイファー教授が『ネーチュア』二十巻に出したは、アイオワ市に住む友人の騾いつも納屋に入りて燕麦を窃《ぬす》み食う。庭の門が締まっておるに変な事と吟味しても判らず。しかるについに現行犯のところを見付けられた。まず懸金を揚げて門を開け出で、身を旋《めぐら》し尻で推してこれを閉じ、納屋に到って戸の※[#「戸の旧字/炯のつくり」、第3水準1−84−68]を抜くと戸自ずから開くのだ。この騾の智慧非凡だったから今少し打ちやり置いたらかくて開いた門戸を闔《とざ》
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