ったと記憶す。かく同姓婚を忌んだ余勢は、延《ひ》いて大いに、神鬼霊怪の物が婦女に孕ませた子は、非凡の器となるてふ考えを助勢し、それまた余勢で馬までも霊物と交われば、最良種を生ずると想像するに及んだらしい。『大唐西域記』一に、〈屈支国東境城北天祠の前に大竜池あり、諸竜形を易《か》え牝馬と交合し、ついに竜駒を生む、※[#「りっしんべん+龍」、383−2]※[#「りっしんべん+(「戸」の正字/犬)」、383−2]にして馭し難く、竜駒の子はじめてすなわち駕に馴る、この国多く善馬出る所以なり、諸先志に聞きて曰く、近き代に王あり号《な》づけて金花という、政教明察、竜馭乗に感ず、王|終《つい》に没せんとするに、鞭その耳に触れ、因ってすなわち潜隠し、以て今に至る、城中井なし、池水を取り汲むに、竜変じて人と為る、諸婦と会して子を生む、驍勇走りて奔馬に及ぶ、かくのごとく漸く染《なず》む、人皆竜種云々〉。アラビヤの旧伝に、インドの大王人を海島に遣わし、王の牝馬を継《つな》ぎ置かしむると、海より牡馬出てこれと交わり、終ってこれを殺さんとす。その時王の使|喚《おめ》いて彼を海へ追い込み、牝馬を伴れ帰って介抱すれ
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