元升《むかいげんしょう》という医者の為人《ひととなり》を称し毎度諮問した由記しあれば、蜈蚣鯨の一項は向井氏が西洋人か訳官《つうじ》から聞き得て貝原氏に伝えたのかも知れぬ、第八図はゴカイの一種ネレイス・メガロプスが専ら水を游ぐ世態をやや大きく写したので、大小の違いはあるが実際海蜈蚣また蜈蚣鯨の何様《いかよう》の物たるを見るに足る。
[#「第7図」のキャプション付きの図(fig1916_07.png)入る]
[#「第8図」のキャプション付きの図(fig1916_08.png)入る]
これを要するに秀郷竜宮入りの譚は漫然無中有を出した丸嘘談でなく、事ごとにその出処根底ある事上述のごとく、そのうち秀郷一、二の矢を射損じ第三の矢で蜈蚣を射留めたと言うに類した那智の一蹈※[#「韋+鞴のつくり」、第3水準1−93−84]《ひとつたたら》ちゅう怪物退治の話がある、また『近江輿地誌略』に秀郷竜女と諧《かの》うたという談については、古来諸国で竜蛇を女人の標識としたり、人と竜蛇交わって子孫生じたと伝え、〈夜半人なく白波|起《た》つ、一目赤竜出で入る時〉など言い竜蛇を男女陰相に比べて崇拝した宗義など、読者を
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