sそのば》へ行き合せた場合でなくんば、いかに重宝を受けても虎を討たぬ、欧人が虎捕らんとておとしを仕掛けると、夜分土人そこへ之《ゆ》き、虎に告げる体でこれは私らがしたんでない、全く我らの同意なしに毛唐人がしたのでござると言って帰るそうだ(マースデンの『スマトラ史』二九二頁)。ジャワでは虎人を苦しめぬ内は祖父《じじ》また老紳士と尊称してこれを崇《あが》める、多くの村に村虎一頭あり、村の某が死んで虎になったとその人の名を充《あ》てる、村人が獣を殺すと残肉を食い言わば村の掃除役だが、万一村の人畜を害《そこな》うと一同これを撃ち殺す(ラッツェル『人類史』一)。支那で※鬼[#「※」は「にんべん+長」、68−14]《ちょうき》と号《な》づけて虎に食われた人の霊が虎に附き添い人を導いて人を殺させ、また新しい死人の衣を解くと信じ、インドにもこの話あり(『日本及日本人』一月号二三二頁)。ランドの『安南民俗迷信記』に安南にもかかる迷信行われ、※鬼[#「※」は「にんべん+長」、68−16]が棄児の泣き声など擬《まね》して道行く人を虎のある所へ導き殺し、殊に自分の親や子の所へ虎を案内する、依って虎に食われた者の
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