オと来た、悦んで巣へ帰ると新妻羨んで何処《いずこ》でかく美装したかと問う、老妻染物屋の壺に浸って来たと対《こた》う、新妻これを信じ染物屋へ飛び往き沸き返る壺に入って死ぬほど湯傷《やけど》する、雄雀尋ね往って新妻を救い銜《くわ》えて巣へ還るさ老妻見て哄笑し、夫雀怒って婆様黙れと言うと新妻夫の嘴《くちばし》を外れ川に落ちて死んだ。夫雀哀しんで自ら羽を抜き丸裸になってピパル樹に栖《とまtり哭《な》く、ピパル樹訳を聞いて貰い泣きし葉をことごとく落す、水牛来て訳を聞いて角|両《ふた》つ堕《おと》し川へ水飲みに往くと、川水牛角なきを異《あや》しみ訳を聞いて貰い泣きしてその水|鹹《から》くなる、杜鵑《ほととぎす》来り訳を聞き悲しみの余り眼を盲《つぶ》し商店に止まって哭き、店主貰い泣きして失心す、ところへ王の婢来り鬱金《うこん》を求めると胡椒、蒜《にんにく》を求めると葱《ねぎ》、豆を求めると麦をくれるので訳を尋ね、哀しみ狂して王宮へ帰り詈《ののし》り行《ある》く、后怪しんで訳を聞き息切れるまで踊り廻る、王子これを哀しみ鼓を打ち王その訳を聞いて琴を弾いたという。日本にもこのような逓累譚《キユミユラチブ・
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