sすみか》より出る時、何気なく尾が廻る、その尖《さき》をみて向うべき処を定むと信ず。マレー人説には、虎食を卜うに、まず地に伏し、両手で若干の葉をとり熟視すれば、一葉の輪廓が、自分食わんと志す数人中の一人の形にンえるが首はない、すなわちその人と決定し食うと。またマレー人やスマトラ人が信ずるは、人里遠い山林中に虎の町あり、人骨をタルキ、人皮を壁とし、人髪で屋根をふいた家に虎どもが棲《す》み、生活万端人間に異ならずと。銭祐が往った虎の官府に似た事だ。けだし、支那やマレー諸地に※虎[#「※」は「むじなへん+區」、90−10]※人[#「※」は「むじなへん+區」、90−10]の迷信盛んに、虎装した兇人が、秘密に部落を構えすみ、巧みに変化して種々の悪行をなし、時には村里へ出て内職に売卜したと見える。元来虎の体色と斑条が、熟日下の地面と樹蔭によく似るから、事に臨んで身を匿《かく》すに妙で、虎巧みにその身を覆蔵すと仏経に記され、〈虎骨甚だ異なり、咫尺《しせき》浅草といえども、能く身伏し露《あらわ》れず、その※然[#「※」は「九+虎」、90−14]《こうぜん》たる声を作《な》すに及んで、すなわち巍然《ぎぜ
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