ム五残(残殺の気なり)を司る〉。支那にも昔流行病と虎豹と関係ありとしたのだ。また虎が人を病ましむる事も『淵鑑類函』に出づ。清源の陳褒別業に隠居し夜窓に臨んで坐す、窓外は広野だ、たちまち人馬の声あり、屹《きっ》と見ると一婦人虎に騎《の》り窓下より径《みち》を過ぎて屋西室の外に之《ゆ》く。壁隔て室内に一婢ありて臥す。右の婦人細き竹杖で壁隙より刺すと婢腹病むというて戸を開き厠《かわや》に如《ゆ》く。褒まさに駭《おどろ》き、呆《あき》れて言を発せぬうち婢立ち出で虎に搏《う》たる。褒出で救うてわずかに免がれた。郷人曰く村中つねにこの怪あり、虎鬼と名づくと。虎に騎った女鬼が人を杖で突いて腹痛がらせ外出して虎に搏たれしむるので、上に言った※鬼[#「※」は「にんべん+長」、79−7]《ちょうき》の類だ。インドの虎狩人の直話をワルハウス筆して曰く、コイムバトール地方を永い間侵して人多く殺した一虎を平らげんとて懸賞したが、誰も討ちおおせなんだ。世評にこの虎に食われた梵志の霊がその虎に騎り差図して撃たれざらしむと言った。件《くだん》の虎狩人何とか討ち留めて高名せんと村|外《はず》れの高樹に上り銃を手にして見
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