ス[#「アナキサゴラス」に傍線]が「ヌース」の原理を立て、宇宙秩序を以て『目的』『設計』に基いて成立つて居るとしたのに徹頭徹尾反對して、原子の瞽盲的、機械的の運動によつて一切を説明したるものである。是れが即ち彼れの宇宙觀であります。然るに其禍惡觀はどうであるかといふに、彼れは斯ういふことを言つて居る。天地を支配するものは、必然の法則、至上、非人格的、無偏頗の必然の法則である。等しく一切の事物を支配する此法則に我々は歡喜の情を以て[#「歡喜の情を以て」に丸傍点]服從せねばならぬと言つて居ります。
乍併、一切の事象は必然の法則に據つて起るといふことゝ、歡喜の情を以て之に服從せねばならぬといふことゝの間には决して論理上[#「論理上」に丸傍点]の關係はない。必然の法則であるといふ前提のみにて、必ずしも、歡喜の情を以て[#「歡喜の情を以て」に丸傍点]之に服從せねばならぬといふ歸結は出て來ません。已むを得ぬこと[#「已むを得ぬこと」に丸傍点]であるから之に服從するは已むを得ぬこと[#「已むを得ぬこと」に丸傍点]であるとは言ふことが出來るけれども、歡喜の情を以て[#「歡喜の情を以て」に丸傍点]服從
前へ
次へ
全18ページ中10ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
朝永 三十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング