、氏が体達して居つた『知的愛』も亦决して此の如きものではありません。氏が其哲學上の汎神論の立脚地よりして、成立宗教[#「成立宗教」に白丸傍点]の人格神の觀念を排斥し、成立宗教[#「成立宗教」に白丸傍点]の所謂『神の愛』を否定し、祈祷を聽き因果律を左右するといふ樣な擬人神の觀念を打破したのは非常の効績と言はねばなりません。是れ即ち氏が知の方面の偉大なるを示すものであります。乍併、此汎神論と『神の知的愛』との間には論理的の必然の關係[#「論理的の必然の關係」に丸傍点]は無い。氏は純粹なる學理[#「學理」に丸傍点]の一方よりして、其本体を何等の規定も着色もなきもの[#「何等の規定も着色もなきもの」に傍点]としながら、而かも一方に於ては情性[#「情性」に丸傍点]の要求よりしては、不知不識の間に『善[#「善」に丸傍点]』といふ着色を與へて居るものと言はねばなりません。少くとも、本体に[#「本体に」に二重丸傍点]『善[#「善」に二重丸傍点]』といふ着色を與へなければ[#「といふ着色を與へなければ」に二重丸傍点]、其本体論の後件として[#「其本体論の後件として」に丸傍点]氏の禍惡觀は出て來ぬ[#「氏
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