フなることもちろんではあるが、ともかくも、軽々しくXをAなりBなりに置き換えるのに比すれば、はるかによく各場合に対する具体的妥当性を発揮しうる。またXをそのままXとしてその値の決定を全部裁判官や陪審官に一任するに比すれば、はるかによく「公平」を保障しうる。かくして([#ここから横組み]a+b+c+d+x[#ここで横組み終わり])の項中個々のabcなどがあるいは a'[#「a'」は縦中横] b'[#「b'」は縦中横] c'[#「c'」は縦中横] などとなり、またあるいは a''[#「a''」は縦中横] b''[#「b''」は縦中横] c''[#「c''」は縦中横] などとなるに従って、これと相対的関係を保ちつつ、その「答え」が変動する。その「変動の法則」を求めるところに今後法学の進むべき目標があるのだと私は考えます。
 われわれは、科学によって得た獲物を極度に利用すべきです。しかし、同時にまた獲物を過信すべきではありません。Xの中には永久にxが残るものなることを覚悟せねばなりません。いわんや軽々しくXをAやBに置き換え、これによって正確な答えを発見しえたりと考えるがごときは自己錯覚のきわめて大なるものだと
前へ 次へ
全46ページ中44ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
末弘 厳太郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング