ンス革命の洗礼を受けた近代人がどうしてかよくこれを受け入れましょう。彼らは真に信頼しうべき「人間以外」のある尺度を求めます。保障を求めるのです。
さらにまた、もしも法が固定的であり、裁判官もまた硬化しているとすれば、法律の適用を受くべき人々みずからが「嘘」をつくに至ること上述のとおりです。そうしてこれが決して喜ぶべき現象でないことは明らかです。子供に「嘘つき」の多いのは親の頑迷な証拠です。国民に「嘘つき」の多いのは、国法の社会事情に適合しない証拠です。その際、親および国家の採るべき態度はみずから反省することでなければなりません。また裁判官のこの際採るべき態度は、むしろ法を改正すべき時がきたのだということを自覚して、いよいよその改正全きを告げるまでは「見て見ぬふり」をし、「嘘」を「嘘」として許容することでなければなりません。
九
人間は「公平」を好む。ことに多年「不公平」のために苦しみぬいた近代人は、何よりも「公平」を愛します。「法の前には平等たるべし」これが近代人一般の国家社会に対する根本的要求です。そうして、いわゆる「法治主義」は、実にこの要求から生まれた制度で
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