立腹すべきではないとうまく気がついて、言った。「泥坊めがわしの馬車にくっついているのを見ておりながら、お前のその大きな口を開いて知らせようともしなかったとはな。ちえっ! この男をあちらへ連れて行け、ムシュー・ガベル!」
 ムシュー・ガベルはそこの宿駅長であって、他に何かの徴税吏をも兼ねていた。彼は、さっきから、この訊問を輔佐するためにすこぶる追従するような態度で出て来ていて、その訊問されている者の腕のところの服をいかにも役人らしい風に掴んでいたのである。
「ちえっ! あちらへ行け!」とムシュー・ガベルが言った。
「今の他所者《よそもの》が今夜お前の村で宿を取ろうとしたらそやつを捕えておけ。そしてそやつに悪い事をさせぬようにきっと気をつけるのじゃぞ、ガベル。」
「閣下《モンセーニュール》、御命令は必ず遵奉いたしますつもりでございます。」
「そやつは逃げ失せてしまったのか、野郎めは? ――さっきの罰当りはどこにいる?」
 その罰当りは既に六人ばかりの特別に親しい友達★と一緒に馬車の下に入っていて、自分の青い帽子で例の鎖を指し示していた。別の六人ばかりの特別に親しい友達がすぐさま彼をひっぱり
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