もっとちょっぽりで、一片の石炭かと見える位であった。でも、彼は、スクルージが石炭箱を始終自分の部屋にしまって置いたので、それを継ぎ足す訳に行かなかった。書記が十能をもって這入って行くたんびに、きっと御主人様は、どうしても君と僕とは別れなくちゃなるまいねと予言したものだ。それが為に、書記は首に白い襟巻を巻きつけて、蝋燭で煖まろうとして見た。が、元々想像力の強い人間ではなかったので、こんな骨折りをして見ても甲斐はなかった。
「聖降誕祭でお目出とう、伯父さん!」と、一つの快活な声が叫んだ。これはスクルージの甥の声であった。彼は大急ぎで不意にスクルージの許へやって来たので、スクルージはこの声で始めて彼が来たことに気が附いた位であった。
「何を、馬鹿々々しい!」とスクルージは言った。
彼は霧と霜の中を駆け出して来たので、身体が煖まって、どっからどこまで真赤になっていた。スクルージのこの甥がですよ。顔は赤く美しく、眼は輝いて、ほうほうと白い息を吐いていた。
「聖降誕祭が馬鹿々々しいんですって、伯父さん!」と、スクルージの甥は云った。「まさかそう云う積りじゃないでしょうねえ?」
「そういう積りだよ
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