霊に依って憶い出させて貰った通りに、寄宿学校からスクルージを連れに帰ったあの女の子が好くやっていたものであった。この一節が鳴り渡ったとき、その精霊がかつて彼に示して呉れたすべての事柄が残らず彼の心に浮んで来た。彼の心はだんだん和いで来た。そして、数年前に幾度かこの曲を聴くことが出来たら、彼はジェコブ・マアレイを埋葬した寺男の鍬に頼らずして、自分自身の手で自分の幸福のために人の世の親切を培い得たかも知れなかったと考えるようになった。
 が、彼等も専ら音楽ばかりして、その夜を過ごしはしなかった。暫時すると、彼等は罰金遊びを始めた。と云うのは、時には子供になるのも好い事であるからである。そして、それには、その偉大なる創立者自身が子供であるところからして、聖降誕祭の時が一番好い。まあ、お待ちなさい。まず第一には目隠し遊びがあった。もちろんあった。私はトッパーがその靴に眼を持っていたと信じないと同様にまったくの盲目《めくら》であるとは信じない。私の意見では、彼とスクルージの甥との間にはもう話は済んでいるらしい。そして、現在の聖降誕祭の精霊もそれを知っているのである。彼がレースの半襟を掛けた肥った
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