りの中に一層晴れやかに見えた時、スクルージは眼を放たず一同の者を見ていた、特にちび[#「ちび」に傍点]のティムを最後まで見ていた。
その時分にはもう段々暗くなって、雪が可なりひどく降って来た。で、スクルージと精霊とが街上を歩いていた時、台所や、客間や、その他あらゆる種類の室々で音を立てて燃え盛っている煖炉の輝かしさと云ったら凄じかった。此方では、チラチラする焔が、煖炉の前で十分に焼かれている熱い御馳走の皿や、寒気と暗黒とを閉め出すために、一たびは開いても直ぐにまた引き下ろされようとしている深紅色の窓掛と一緒になって、小ぢんまりした愉快な晩餐の用意を表わしていた。彼方では、家中の子供達が自分達の結婚した姉だの、兄だの、従兄だの、伯父だの、叔母だのを出迎えて、自分こそ一番先に挨拶をしようと、雪の中に走り出していた。また彼方には、皆頭巾を被って毛皮の長靴を履いた一群の美しい娘さんが、一度にべちゃくちゃ饒舌りながら、軽々と足を運んで、近所の家に出掛けて行った。そこへ彼等がぽっと上気しながら這入って来るのを見た独身者は災禍《わざわい》なるかな――手管のある妖女どもよ、彼等はそれを知っているので
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