フ柱を八十本立て、それから、私の身体をぐる/\まきにしている紐の上に、丈夫な綱をかけました。そして、この綱を柱にしかけてある滑車で、えんさ/\と引き上げるのです。九百人の男が力をそろえて、とにかく私を車台の上に吊し上げて結びつけてしまいました。すると、千五百頭の馬が、その車を引いて、私を都の方へつれて行きました。もっとも、これは、みんなあとから人に聞いて知った話なのです。
車が動きだしてから、四時間もした頃のことです。何か故障のため、車はしばらく停まっていましたが、そのとき、二三の物好きな男たちが、私の寝顔はどんなものか、それを見るために、わざ/\車によじのぼって来ました。
はじめは、そっと顔のあたりまで近づいて来たのですが、一人の男が、手に持っていた槍の先を、私の鼻の孔にグイと突っ込んだものです。こより[#「こより」に傍点]で、つゝかれたようなもので、くすぐったくてたまりません。思わず知らず、大きなくしゃみ[#「くしゃみ」に傍点]と一しょに私は目がさめました。
日が暮れてから、車は休むことになりましたが、私の両側には、それ/″\五百人の番兵が、弓矢や炬火《たいまつ》をかゝげて取
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