チて、その空樽を投げおろしてくれと手まねをします。私が左手で胸の上の樽を投げてやると、小人たちは一せいに拍手しました。それにしても、私の身体の上を勝手に歩きまわっている大胆さ。私の身体は彼等から見れば、山ほどもあるのです。それを平気で歩きまわっているのです。
 しばらくすると、皇帝陛下からの勅使が、十二人ばかりのお供をつれてやって来ました。私の右足の足首からのぼって、どん/\顔のあたりまでやって来ます。その書状をひろげたかとおもうと、私の眼の前に突きつけて、何やら読み上げました。それから、しきりに前方を指さしました。この意味は、あとになってわかったのですが、指さしている方向に、小人国の都があったのです。そこへ、皇帝陛下が、私をつれて来るよう言いつけられたのだそうです。
 私は、どうかこの紐を解いてくださいと、くゝられていない片方の手で、いろ/\と手まねをして見せました。すると勅使は、それはならぬというふうに、頭を左右に振りました。その代り、食物や飲物に不自由させぬから安心せよ、と彼は手まねで答えました。
 勅使が帰ってゆくと、大勢の小人たちが、私のそばにやって来て、顔と両手に、何かひど
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