ナす。
 私がおとなしくなると、もう矢は飛んで来なくなりました。が、前とはよほど人数がふえたらしく、あたりは一段と騒がしくなりました。さきほどから、私の耳から二間ぐらい離れたところで、何かしきりに、物を打ち込んでいる音がしています。
 そっと顔をそちら側へねじむけて見ると、そこには、高さ一フート半ばかりの舞台が出来上っています。これは、小人なら四人ぐらい乗れそうな舞台です。のぼるために梯子《はしご》まで、二つ三つかゝっています。今、その舞台の上に、大将らしい男が立つと、大演説をやりだしました。四人のお附きをしたがえた、その大将は、年は四十歳ぐらいで、風采も堂々としています。といっても、その身長は、私の中指ぐらいでしょう。声を張りあげ、手を振りまわし、彼はなか/\調子よくしゃべるのです。
 私も左手を高く上げて、うや/\しく、答えのしるしをしました。しかし、なにしろ私は、船にいたとき食べたきりで、あれから、何一つ食べていません。ひもじさに、お腹がぐー/\鳴りだしました。もう、どうにも我慢ができないので、私は口へ指をやっては、何か食べさせてください、という様子をしました。大将は私の意味がよ
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