ありました、是《これ》から私《わたし》が又《また》山田《やまだ》と石橋《いしばし》とを引合《ひきあは》せて、先《ま》づ桃園《とうゑん》に義《ぎ》を結《むす》んだ状《かたち》です、
其内《そのうち》に山田《やまだ》は芝《しば》から一《ひと》ツ橋《ばし》まで通学《つうがく》するのは余《あま》り遠《とほ》いと云《い》ふので、駿河台《するがだい》鈴木町《すずきちやう》の坊城《ばうじやう》の邸内《ていない》に引越《ひつこ》した、石橋《いしばし》は九段坂上《くだんさかうへ》の今の暁星学校《ぎやうせいがくかう》の在《あ》る処《ところ》に居《ゐ》たのですが、私《わたし》は不相変《あひかはらず》芝《しば》から通《かよ》つて居《ゐ》た、山田《やまだ》と益《ます/\》親密《しんみつ》になるに就《つ》けて、遠方《ゑんぱう》から通ふのは不都合《ふつがふ》であるから、僕《ぼく》の家《うち》に寄宿《きしゆく》しては奈何《どう》です、と山田《やまだ》が云《い》つてくれるから、願《ねが》うても無き幸《さいわひ》と、直《すぐ》に笈《きふ》を負《をつ》て、郷関《きやうくわん》を出た、山田《やまだ》の書斎《しよさい》は八|畳
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