《ぢやう》の間《ま》でしたが、其《それ》に机《つくゑ》を相対《さしむかひ》に据《す》ゑて、北向《きたむき》の寒《さむ》い武者窓《むしやまど》の薄暗《うすぐら》い間《ま》に立籠《たてこも》つて、毎日《まいにち》文学の話です、此《こゝ》に二人《ふたり》が鼻《はな》を並《なら》べて居《ゐ》るから石橋《いしばし》も繁《しげ》く訪ねて来る、山田《やまだ》は出嫌《でぎら》ひであつたが、私《わたし》は飛行自由《ひぎやうじざい》の方《はう》であるから、四方《しはう》に交《まじはり》を結《むす》びました、処《ところ》が予備門《よびもん》内《ない》を普《あまね》く尋《たづ》ねて見ると、なか/\斯道《しだう》の好者《すきしや》が潜伏《せんぷく》して居《ゐ》るので、それを石橋《いしばし》と私《わたし》とで頻《しきり》に掘出《ほりだ》しに掛《かゝ》つた、すると群雄《ぐんいう》四方《しはう》より起《おこ》つて、響《ひゞき》の声に応《おう》ずるが如《ごと》しです、是《これ》が硯友社《けんいうしや》創立《さうりつ》の導火線《だうくわせん》と成《な》つたので、
さて其頃《そのころ》の三人《さんにん》の有様《ありさま》は
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