よびもん》に入つて二|年《ねん》経《た》つ迄《まで》、山田《やまだ》とは音信不通《いんしんふつう》の状《かたち》で居《ゐ》たのです、其《それ》には別《べつ》に理由《りいう》も何《なに》も無い、究竟《つまり》学校が違つて了《しま》つた所から、お互《たがひ》に今日《こんにち》あつて昨日《さくじつ》も明日《みやうにち》も無い子供心《こどもごゝろ》に、漠然《ぼうつ》と忘《わす》れて了《しま》つたのです、すると、私《わたし》が二|級《きふ》に成《な》つた時《とき》、山田《やまだ》が四|級《きふ》に入つて来たのです、実に這麼《こんな》意外な想《おもひ》をした事が無い、第二中学に居《ゐ》た時は私《わたし》より二|級《きふ》上《うへ》の山田《やまだ》が、予備門《よびもん》では二|級《きふ》下《した》の組《くみ》に入つて来たのでせう、私《わたし》は何為《どうし》た事かと思ひました、然《しか》し、実に可懐《なつかし》かつたのです、顔を見ると手を把《と》つて、直《たゞち》に旧交《きふこう》が尋《あたゝ》められると云《い》ふ訳《わけ》で、其頃《そのころ》山田《やまだ》も私《わたし》も猶且《やはり》第二中学時代
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