く》して来たので、此際《このさい》何《なに》か発行しやうと云《い》ふ金港堂《きんこうどう》の計画《けいくわく》が有つたのですから、早速《さつそく》山田《やまだ》へ密使《みつし》が向《むか》つたものと見える、
此方《こちら》は暢気《のんき》なものだから那様《こんな》事《こと》とは些《ちつと》も知らない、山田《やまだ》も亦《また》気振《けぶり》にも見せなかつた、けれども前《さき》にも言ふ如《ごと》く、中坂《なかさか》に社を設《まう》けてからは、山田《やまだ》は全《まつた》く社務《しやむ》に与《あづか》らん姿であつたから、社の方でも山田《やまだ》の平生《へいぜい》の消息《せうそく》を審《つまびらか》にせんと云《い》ふ具合《ぐあひ》で、此《こ》の隙《すき》が金港堂《きんこうどう》の計《はかりごと》を用《もちゐ》る所で、山田《やまだ》も亦《また》硯友社《けんいうしや》と疎《そ》であつた為《ため》に金港堂《きんこうどう》へ心が動いたのです、当時《たうじ》は実《じつ》に憤慨《ふんがい》したけれど、考へて見れば無理《むり》の無い所で、而《さう》して此間《このかん》の事は硯友社《けんいうしや》のヒストリ
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