文《こくぶん》でも、和歌《わか》でも、詩《し》でも、戯作《げさく》でも、字も善《よ》く書いたし、画《ゑ》も少しは遣《や》ると云《い》つたやうな多芸《たげい》の才子《さいし》で、学課《がくくわ》も中以上《ちういじやう》の成績《せいせき》であつたのは、校中《かうちう》評判《ひやうばん》の少年でした、私《わたし》は十四五の時分《じぶん》はなか/\の暴《あば》れ者で、課業《くわげふ》の時間を迯《に》げては運動場《うんどうば》へ出て、瓦廻《かはらまわ》しを遣《や》る、鞦韆飛《ぶらんことび》を遣《や》る、石ぶつけでも、相撲《すまふ》でも撃剣《げきけん》の真似《まね》でも、悪作劇《わるいたずら》は何《なん》でも好《すき》でした、(尤《もつと》も唯今《たゞいま》でも余《あま》り嫌《きら》ひの方《はう》ではない)然《しか》るに山田《やまだ》は極《ごく》温厚《おんこう》で、運動場《うんどうば》へ出て来ても我々《われ/\》の仲間に入《はい》つた事などは無い、超然《てうぜん》として独《ひと》り静《しづか》に散歩して居《を》ると云《い》つたやうな風《ふう》で、今考へて見ると、成程《なるほど》年少詩人《ねんせうし
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