古羽織《ふるばおり》に托鉢僧《たくはつそう》のやうな大笠《おほがさ》を冠《かぶ》つて、六歩《ろつぱう》を踏《ふ》むやうな手付《てつき》をして振込《ふりこ》んで来たのです、文章を書くと云《い》ふよりは柔術《やはら》を取りさうな恰好《かつかう》で、其頃《そのころ》は水蔭亭主人《すゐいんていしゆじん》と名宣《なの》つて居《ゐ》ました、
扨《さて》雑誌は益※[#二の字点、1−2−22]《ます/\》売れるのであつたが、会計《くわいけい》の不取締《ふとりしまり》と一《ひと》つには卸売《おろしうり》に行《ある》かせた親仁《おやじ》が篤実《とくじつ》さうに見えて、実は甚《はなは》だ太《ふと》い奴《やつ》であつたのを知らずに居《ゐ》た為《ため》に、此奴《こいつ》に余程《よほど》好《よ》いやうな事を為《さ》れたのです、畢竟《つまり》売捌《うりさばき》の方法が疎略《そりやく》であつた為《ため》に、勘定《かんじやう》合つて銭《ぜに》足《た》らずで、毎号《まいがう》屹々《きつ/\》と印刷費《いんさつひ》を払《はら》つて行つたのが、段々《だん/\》不如意《ふによい》と成《な》つて、二号《にがう》おくれ三|号《がう
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