で、無理に此処《ここ》へ連出したに違無い。翁さん姨さんの頼と有つて見れば、僕は不承知を言ふことの出来ない身分だから、唯々《はいはい》と言つて聞いてゐたけれど、宮《みい》さんは幾多《いくら》でも剛情を張つて差支《さしつかへ》無いのだ。どうあつても可厭《いや》だとお前さんさへ言通せば、この縁談はそれで破れて了《しま》ふのだ。僕が傍《そば》に居ると智慧《ちゑ》を付けて邪魔を為《す》ると思ふものだから、遠くへ連出して無理往生に納得させる計《はかりごと》だなと考着くと、さあ心配で心配で僕は昨夜《ゆふべ》は夜一夜《よつぴて》寐《ね》はしない、そんな事は万々《ばんばん》有るまいけれど、種々《いろいろ》言はれる為に可厭《いや》と言はれない義理になつて、若《もし》や承諾するやうな事があつては大変だと思つて、家《うち》は学校へ出る積《つもり》で、僕はわざわざ様子を見に来たのだ。
馬鹿な、馬鹿な! 貫一ほどの大馬鹿者が世界中を捜して何処《どこ》に在る!! 僕はこれ程自分が大馬鹿とは、二十五歳の今日まで知《し》……知……知らなかつた」
宮は可悲《かなしさ》と可懼《おそろしさ》に襲はれて少《すこし》く声さへ
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