う二三日|内《うち》には帰らうと思つてね。お前さん能《よ》く来られましたね。学校の方は?」
「教場の普請を為るところがあるので、今日半日と明日《あす》明後日《あさつて》と休課《やすみ》になつたものですから」
「おや、さうかい」
 唯継と貫一とを左右に受けたる母親の絶体絶命は、過《あやま》ちて野中の古井《ふるゐ》に落ちたる人の、沈みも果てず、上《あが》りも得為《えせ》ず、命の綱と危《あやふ》くも取縋《とりすが》りたる草の根を、鼠《ねずみ》の来《きた》りて噛《か》むに遭《あ》ふと云へる比喩《たとへ》に最能《いとよ》く似たり。如何《いか》に為べきかと或《あるひ》は懼《おそ》れ、或は惑ひたりしが、終《つひ》にその免《まぬが》るまじきを知りて、彼はやうやう胸を定めつ。
「丁度宅から人が参りましてございますから、甚《はなは》だ勝手がましうございますが、私|等《ども》はこれから宿へ帰りますでございますから、いづれ後程伺ひに出ますでございますが……」
「ははあ、それでは何でありますか、明朝《あす》は御一所に帰れるやうな都合になりますな」
「はい、話の模様に因《よ》りましては、さやう願はれるかも知れませ
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